嵌頓痔核かんとんじかくとは?

嵌頓痔核は、徐々に進行していた内痔核(いぼ痔)が、歯状線(直腸と肛門の境目)を越えて肛門の外に脱出し、肛門括約筋に締め付けられることで内側へ戻らなくなる疾患です。嵌頓状態の痔核には、血栓(血の塊)が生じ、大きく腫れ上がり激しい痛みを伴います。

主な原因は?

嵌頓痔核は、以下のような原因によって引き起こされます。

便秘
排便時に強い圧力が加わることから
下痢
肛門周囲の組織に強い刺激を与えることから
過度な肛門圧迫
長時間の座り仕事や、重い物を持ち上げること、妊娠や出産などで、肛門周囲の組織に強い圧力が加わることから
加齢
年齢とともに、肛門周囲の組織が弱くなることから
生活習慣
辛い、刺激の多い食べ物の摂りすぎ、過度の飲酒、喫煙などから

なりやすい人は?

もともとの痔核(いぼ痔)が進行し、上記の「主な原因は?」に該当する人は、嵌頓痔核になりやすいとされています。

痔核を予防するためには、適切な食生活や排便習慣を心がけ、肛門周囲の組織を強化することが大切です。
よくいただくご質問の「嵌頓痔核にならないための予防法はありますか?」を併せてご覧ください。

症状

嵌頓痔核の症状には、以下のようなものがあります。

肛門周囲の腫れやしこり
触れると痛みが強くなることがあります。
激しい痛み
排便時や座ったり立ち上がったりする際に、痛みが増すことがあります。
出血
血便やトイレットペーパーに血がつくことがあります。

病気に気づいたら?

早めに専門医を受診してください。

治療法

嵌頓痔核の治療法は、症状や病変の程度によって異なりますが、以下のようなものがあります。

薬物療法
痛みを和らげるための鎮痛剤や、痔核を収縮させる効果がある薬剤などを使用します。
外科的治療
痔核が大きく嵌頓しやすい場合や、薬物療法の効果がなかった場合には、手術による治療が必要になります。手術には、痔核を切除する方法や、痔核を縮小する方法があります。
生活習慣の改善
便秘や下痢を改善するために、適切な食事や水分摂取、運動などの生活習慣の改善を行います。生活習慣の改善を継続することで、再発予防にもつながります。

よくいただくご質問

くるめ病院にお寄せいただいた、嵌頓痔核に関するご質問にお答えしています。
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痔だと思うのですが、最近激しい痛みがあります。受診が必要でしょうか?


徐々に進行していた内痔核(いぼ痔)が、歯状線(直腸と肛門の境目)を越えて肛門の外に脱出してしまい、さらに、肛門括約筋によって締めつけられることで内側に戻らなくなって血栓(血の塊)を生じている状態の場合には、「嵌頓痔核(かんとんじかく)」の可能性があります。嵌頓とは、飛び出したものが元に戻らない状態を表す医学用語です。

症状として、痔核や肛門周辺は非常に大きく腫れ上がってむくみが現れ、激しい痛みを伴います。長引くことで組織の壊死や感染などを合併する恐れもあります。痛みを緩和させるためにも、早めに病院を受診してください。


嵌頓痔核には、なぜなりますか?


嵌頓痔核の原因には、主に以下のような生活習慣が関わっているとされています。

  • 肛門に負担がかかる力仕事
  • 長時間にわたる同じ姿勢
  • 辛い、刺激の多い食べ物の摂りすぎ
  • 過度の飲酒
  • 喫煙
  • 長時間の排便の我慢
  • 排便時のいきみすぎ

など

痔にならない7つの方法」も併せてご覧ください。


嵌頓痔核の治し方は?


軽度の嵌頓痔核の場合は、軟膏や痛み止め、坐薬などを使用して、腫れが引くのを待ちます。入浴や坐浴で循環機能を改善させることも大切です。1週間程度で痛みは軽快しますが、一旦症状が落ち着いても、再び強い痛み、腫れ、出血などが起きる可能性があるため、将来的には根治するために手術を行うことが必要となります。

治療方法は、症状や原因によって異なりますので、症状が出た場合は、早めに医師に相談し治療することをおすすめします。


嵌頓痔核にならないための予防法はありますか?


嵌頓痔核を予防するためには、以下のような方法があります。

  1. 食生活の改善
    食物繊維を多く含む野菜や果物を摂取することで便通を改善して、まず、痔の原因となる便秘を予防します。
  2. 適度な水分の摂取
    適切な水分摂取量を摂ることで、便が柔らかくなり、排便がスムーズになります。
  3. 適度な運動
    適度な運動を行うことで、腸の働きが活発になり便秘を予防することができます。
  4. 便意があれば早めにトイレへ
    便意があるときは無理をせず、早めにトイレに行くことが大切です。
  5. 腹圧をかけすぎない
    排便時に無理に力を入れたり、腹圧をかけると、痔核が脱出する原因となるため、避けるようにしましょう。
  6. 過度な座り仕事を避ける
    長時間の座り仕事は血行不良を引き起こし、痔の原因になることがあります。適宜立ち上がったり、ストレッチをしたりすることで、血行を促進しましょう。


嵌頓痔核の手術は、どれくらい入院が必要でしょうか?


嵌頓痔核の手術の場合、くるめ病院では、術後1週間程度の入院が必要になります。
手術自体は数十分で完了し、翌日以降はシャワーが可能です。また、手術後に傷が治るまで個人差もありますが、大体1か月程度かかります。