肛門ポリープとは?

直腸と肛門の境目の歯状線にある肛門乳頭が、イボ状のかたまりに大きくなったものです。

主な原因は?

便秘や下痢を繰り返すことにより、不適切ないきみ習慣で肛門に負担をかけるために起こります。

なりやすい人は?

コロコロ便や泥状便を繰り返す方、裂肛を繰り返す方に多く認められます。

症状

肛門からの脱出や違和感を伴います。

発生部位

肛門全周にみられます。

好発年齢・性別

若い方から高齢の方まで、男女関係無く認められます。

病気に気づいたら?

専門病院の受診をおすすめします。まれではありますが、肛門腫瘍による脱出の場合もあります。

診断方法

問診・視診・触診及び大腸内視鏡検査で診断します。

検査法

大腸内視鏡検査を行います。大きさ、部位、性状を確認します。

治療法

慢性裂肛が原因であれば裂肛の治療と同時に切除します。
肛門ポリープだけであれば、通常は悪性化することはありませんので、治療を行うことはありませんが、希望される場合は外来での切除も可能です。

手術

放置されていてもかまいませんが、痛み、出血など症状がある方は手術を行うこともあります。

合併症について

わずかな出血や傷が化膿したり、腫れることがあります。状態に応じて処置します。

切除後の日常生活

便秘とならないように緩下剤の使用や食事に注意します。
外用薬もしばらく潤滑油の役割として使用します。

切除後の通院について

通常は1週間後に通院していただき、傷の状態を診察します。

薬について

痛みの強い方には痛み止めを処方します。
肛門の腫れを抑えるためや潤滑剤として坐薬を使用します。

予防法

原因として便秘や下痢が大きく関わっていますので、普段から適度な運動を行い、暴飲暴食は控え繊維質の多い食事をとりましょう。
また、「痔にならない7つの方法」もご覧ください。

よくいただくご質問

くるめ病院にお寄せいただいた、肛門ポリープに関するご質問にお答えしています。
その他のご質問やご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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なぜ、肛門ポリープはできるのですか?


肛門ポリープは、肛門の歯状線と呼ばれる部分で発生する、粘膜や組織の腫れたふくらみのことを言います。肛門ポリープは、何度も繰り返される刺激に反応して発生すると考えられています。

一例として挙げられるのが、慢性的な便秘や繰り返される下痢、そして裂肛(切れ痔)です。
便秘が長期間続くと、硬くて大きな便が排泄されることがあります。この過程で肛門にかかる圧力が増し、肛門周囲の組織が刺激を受け、裂肛が発生しやすくなります。一方で、慢性的な下痢も肛門にストレスをかけ、組織を傷つける要因となります。

これらが繰り返されることで、肛門ポリープが生じやすい状態になります。

そのため、健康な便通を維持し、肛門周囲の組織を保護することが非常に重要です。食物繊維を十分に摂取し、適切な水分補給や適度な運動を心掛けることは、便通を改善し、便秘や下痢の症状を軽減するのに効果的です。また、裂肛が頻繁に発生する場合は、医師の診察を受けて適切な治療を行い、肛門ポリープのリスクを低減させることが必要となります。


長い間切れ痔なのですが、
排便時に肛門から固いイボのようなものがでます。何でしょうか?


裂肛(切れ痔)が長期間続くと、肛門の奥にキノコ状のポリープが形成され、排便時に外に出ることがあります。これらのポリープは、裂肛に起因する可能性のある炎症性の肛門ポリープの一種です。

症状が進行すると不快感や痛みが出ることがありますので、専門医の受診を検討してください。


肛門ポリープを放置すると、どうなりますか?


肛門ポリープを放置した場合に、健康が害されたり、命が危険にさらされたりするなどの心配はないでしょう。また、肛門ポリープは、大腸ポリープと異なり、がん化することは通常ありません。

ただし、肛門ポリープは小さいうちは無症状ですが、大きくなると排便時に脱出し、再び元の位置に戻り、脱出を繰り返すと、根元部分が裂けて痛みや出血を引き起こす可能性があります。見た目が気になったり、かゆみや便意などの症状がある場合には、手術を受けることをおすすめします。


肛門ポリープの診察は、どのように行われますか?


肛門ポリープの診察は、まず最初に問診を行い、症状の有無や種類、痔などの過去の既往歴についてお尋ねします。
次に、視診・触診を行い、肛門周辺の外観や触診を通じて、腫れや変化を評価します。また、肛門鏡を使用して肛門内部を直接観察し、ポリープの有無や状態、大きさなどを確認します。

必要に応じて、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を追加することがあります。大腸内視鏡検査は、より広範囲な大腸や直腸の内部を観察するための検査で、肛門ポリープだけでなく、大腸全体の異常も検出することが可能です。

これらの診察手法を組み合わせ、総合的に評価した上で最終的な診断を行い、適切な治療計画を検討していきます。


肛門ポリープの手術について教えてください。


肛門ポリープの手術は外来で行われ、一般的に入院の必要はありません。手術後、7~10日後に再び診察を行い、症状の改善や不快感の有無を確認します。この時に症状がなければ、治療は終了となります。

手術は、肛門ポリープの根元に局所麻酔を施して行います。肛門ポリープ単体の場合、手術後や排便時に、痛みはほとんど生じません。

肛門ポリープが大きくなり排便時に肛門の外に出てくるようになると、さまざまな症状が現れることがあります。手術によってポリープを取り除くことで、症状が改善され、気分もスッキリすると思いますので、気になる症状や不快感がある場合は、まずは、専門医の診察を受けることをおすすめします。


肛門ポリープと大腸ポリープはどう違いますか?


まず、肛門ポリープは、肛門の入り口付近に形成される突起物で、一般的には小さく、イボのような形状をしています。一方、大腸ポリープは、大腸の内壁にできるポリープで、肛門よりも内部(奥)に位置しています。大腸ポリープは肛門ポリープよりも大きくなることがあり、平らな形状や茸状の形態を持つこともあります。

特に重要なのは、大腸ポリープでは、ポリープの一部が悪性転化して大腸がんに進展する可能性があることです。このため、大腸ポリープの早期発見と適切な管理が大切で、定期的な検査が推奨されています。

このように、位置、形状、悪性度などの特徴を考慮することで、肛門ポリープと大腸ポリープを区別することができます。