逆流性食道炎とは?

逆流性食道炎とは、胃の中で胃液と混ざり合った食べ物や胃液そのものが食道に逆流する病気です。逆流性食道炎は、高齢者に起こりやすいとされていましたが、最近は若い人にも増えており、問題になっています。

主な原因は?

主な原因としては、食道と胃のつなぎめにあたる下部食道括約筋の筋力の低下があげられます。通常は、下部食道括約筋が胃液の逆流を防いでいますが、この筋肉が加齢などによって緩むと、胃の内容物が簡単に食道に戻ってきてしまうのです。そのため、これまでは高齢者の病気と考えられていましたが、最近では若い人にも増えています。

若い人に逆流性食道炎が起こる原因の一つは、「便秘」によって腹圧が高まることです。お腹が張っている時、胃は腸からの圧迫を受け、食道への逆流が起こりやすい状況になります。慢性的な便秘によって常にお腹が張った状態になると、若い人でも逆流性食道炎が起こりやすいことがわかっています。
また、脂肪分の多い食事をすると、十二指腸からコレシストキニンというホルモンが分泌され、下部食道括約筋がゆるんだり、胃酸が増えたりします。これは、脂肪がほかの栄養素に比べて消化に負担がかかるからです。そのため、脂肪分の多い食事を好んで食べる人にも、逆流性食道炎が起こりやすくなります。

症状

主な症状は、以下の通りです。

  • 食後に胸焼けがする
  • ゲップが出たり、喉に酸っぱいものや苦いものがこみ上げてくる感じがする

逆流性食道炎はつらい症状の他に、放置すると潰瘍に進行したり、食道がんのリスクが高まります。また、逆流性食道炎の原因となる便秘や高脂肪の食事は、大腸がんのリスク要因ともなります。

検査法・診断法

上部消化管X線検査、内視鏡検査を行います。

治療法

飲み薬によって胃酸の分泌量を減少させたり、食道の運動機能を改善したり、胃酸を中和したり、食道の粘膜を保護・修復する薬物療法を中心に行います。

予防法

以下のような生活習慣の改善が中心となります。

  • 脂肪分の多い食事を控える
  • オリーブオイルを食生活に取り入れる
  • 胃への刺激の少ないものを腹八分目で食べる
  • 酸味の強い食品も控える。
  • 腹部をベルトできつく締め付けすぎない
  • 無理して重いものを持たない

よくいただくご質問

くるめ病院にお寄せいただいた、逆流性食道炎に関するご質問にお答えしています。
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逆流性食道炎なのですが、控えた方が良いことはありますか?


逆流性食道炎の方が控えた方が良いことには、以下のようなものがあります。

喫煙
タバコに含まれる化学物質は、食道の粘膜にダメージを与えることががあります。
アルコールの過剰摂取
アルコールの飲みすぎは、食道の筋肉を弱めます。
過食
食べ過ぎは、胃の圧力を増加させ、逆流を促進することがあります。
脂っこい食事や辛い食べ物の摂取
脂っこい食事や辛い食べ物は、胃酸の分泌を増加させることがあります。
食後直ぐに横になる
食後すぐに横になると、胃酸が逆流しやすくなります。

また、医師の指示に従って、適切な治療を行いましょう。


就寝時に、胃酸が逆流しにくい方法はありますか?


寝る時の姿勢を「左を下にして寝ること」で胃酸が逆流しにくくなります。これは、左下にすることで、食道と胃のつなぎめの角度が鋭角になり、逆流しづらくなります。「左を下にして寝ること」を、一度お試しください。

他にも、食事を就寝前に摂らない、就寝前に胃を刺激するコーヒー(カフェイン)飲料を避ける、重い布団などでお腹を圧迫させない、などの対策も有効です。


なぜストレスが逆流性食道炎に影響を与えるのでしょうか?


ストレスによって引き起こされる自律神経の乱れは、胃酸分泌を過剰に刺激し、胃の運動を異常にさせることがあります。このメカニズムが逆流性食道炎を引き起こす原因の一つとして考えられています。

また、ストレスによって筋肉の緊張が増し、食道の括約筋が強く収縮して、逆流を防ぐことができなくなる場合があります。さらに、ストレスによって食欲不振や食事の嗜好が変わり、胃腸の消化・吸収にも影響を与えることがあります。これらの要因が重なることで、ストレスが逆流性食道炎を悪化させる可能性があります。

ストレスを減らすことは、逆流性食道炎の治療においても重要な要素の一つとなりますので、上手にストレスを解消していきましょう。


逆流性食道炎の食事療法を教えてください。


逆流性食道炎の食事療法には、以下のようなポイントがあります。

  1. 脂っこい食品や辛い食品や刺激の強い調味料を避ける。
  2. 酸味のある食品や飲み物を避ける(トマト、柑橘類、コーヒー、紅茶など)。
  3. アルコールや炭酸飲料を避ける。
  4. 食事量を少量に抑え、よく噛んで食べる。
  5. 食事中に急いで食べたり、飲み込む際に大きな音を立てないようにする。
  6. 食後に横にならず、立ち上がって歩くなどの軽い運動をする。
  7. 夕食は、寝る前の2~3時間までに済ませる。


家族に逆流性食道炎の症状が多く出ています。
逆流性食道炎は、遺伝することがありますか?


逆流性食道炎は、遺伝的な要因が関与するともされていますが、親が逆流性食道炎だからといって、必ずしも子供も発症するわけではありません。遺伝的な傾向があると示唆されているものの、具体的な遺伝子や遺伝パターンは明らかになっていません。

一般的に逆流性食道炎は、生活習慣や食生活の改善によって予防できることが多いため、「家族全員が同じ食生活を送っている場合、家族に逆流性食道炎を患っている人がいるときには、自分自身も逆流性食道炎にかかりやすい」という可能性があります。

遺伝というよりも生活習慣が影響しているということです。
家族に逆流性食道炎の症状がある場合には、自分自身も予防に取り組むことが良いでしょう。


1カ月ほど前から、逆流性食道炎の症状があります。
どれくらいで自然治癒しますか?


逆流性食道炎の症状が1カ月以上続いている場合には、自然治癒する可能性は低いと考えられます。
症状が軽度であれば、食事や生活習慣の改善、適切な薬物療法で症状が改善されることが多いですが、1カ月以上続く場合は、これから症状が悪化する可能性があります。放置していると重度の症状や合併症が発生する可能性もあるため、早めに医師の診断を受け、適切な治療を受けてください。