尖圭コンジローマとは?
ヒト乳頭腫ウィルス(ヒトパピローマウィルス、HPV)の感染による性感染症のひとつです。
男性の場合も、女性の場合も、性器や肛門のまわりに鶏冠(にわとりのとさか)状のイボができますが、かゆみや痛みはない場合が多いと言われています。
主な原因は?
尖圭コンジローマの病原体であるヒト乳頭種ウィルスは、ほとんどの場合、性交やそれに類似する行為によって感染します。
なりやすい人は?
感染するリスクが高いのは、たくさんの人と性的関係を持っている人。
症状
男性の場合は、ペニスの亀頭、冠状溝、包皮内外板、陰嚢、女性の場合は、代償陰唇、膣前庭、会陰、膣、子宮膣部にイボができます。
また、男女とも、肛門内や肛門のまわり、尿道口にもイボができることがあります。
イボの形は、「乳頭状」「カリフラワーのような」または、「にわとりのとさかのような」などと表現されることがあります。
痛みやかゆみといった自覚症状はありませんが、炎症を起こしていたりすると痛みや、かゆみを伴うことも場合にはあります。
発生部位
肛門・陰部
病気に気づいたら
専門病院の受診をおすすめします。
診断方法
視診・触診
治療法
手術による治療法:直接イボをとってしまう外科的療法
薬による治療法:ベセルナクリーム
手術
電気メスやレーザーでイボを焼く(電気焼却)
後遺症について
手術により目に見えるところのイボを取り除いても、その周辺部まで感染が及んでいる場合が多く、再発も多く、経過観察が必要です。再発までの期間は、約3カ月です。
退院後の日常生活
制限はありません。
退院後の通院について
定期的に、外来受診をしてください。
アドバイス
尖圭コンジローマの症状・特徴を男女別に教えてください。
【男性の症状】
- 陰茎や陰のうに小さな鶏冠(にわとりのとさか)状のイボができることがあります。
- イボが複数ある場合は群れをなして膨らみ、カリフラワーのような形状をとることがあります。
- イボは硬く、色は肌色から茶色、灰色と、さまざまです。
- イボが痛むことはあまりなく、かゆみが出る場合があります。
【女性の症状】
- 外陰部や膣口、子宮頸部に鶏冠(にわとりのとさか)状のイボができることがあります。
- イボが複数ある場合は群れをなして膨らみ、カリフラワーのような形状をとることがあります。
- イボは硬く、色は肌色から茶色、灰色と、さまざまです。
- イボにかゆみが出る場合があります。
- 子宮頸がん検診での細胞診の異常をきっかけに、発見されることがあります。
なお、くるめ病院においては、男女を問わず、肛門周囲に同様のイボが発生している患者様が多くみられます。
尖圭コンジローマにかかった場合、どのように対処すればよいですか?
尖圭コンジローマにかかった場合、以下のように対処することをおすすめします。
- 専門医の受診
- 症状がある場合や感染の疑いがある場合は、まずは専門医に相談して治療しましょう。
- 性行為を避ける
- 尖圭コンジローマは主に性行為で感染するため、感染者・感染者以外との性行為を避けてください。
- 感染拡大の防止
- 感染が広がることを防ぐために、タオルや下着を共有しない、手洗いをこまめに行う、性器周辺を清潔に保つなど、衛生面に注意しましょう。
- 免疫力を高める
- バランスのとれた食事、運動、睡眠、ストレスの軽減などで免疫力を高めるようにしましょう。
尖圭コンジローマの治療には、どんな方法がありますか?
尖圭コンジローマの治療には、以下のような方法があります。
- 局所治療
- 尖圭コンジローマを消去するために、外用薬や凍結療法、レーザー療法、手術などの局所治療が行われます。局所治療は、尖圭コンジローマの程度や広がりに応じて、専門医が適切な治療法を選択します。
- 免疫療法
- 抗ウイルス薬を用いて、尖圭コンジローマの原因となっているウイルスの増殖を抑制し、免疫機能を高めてウイルスに感染した細胞を攻撃します。
- 自然治癒
- 初期の段階で、かつ免疫力が高い場合は、稀に自然治癒することがあるようですが、再発の可能性がありますので、早めに病院へ行くことをおすすめします。
尖圭コンジローマは、治療後も再発することがあるため、治療後の経過観察が必要です。専門医に相談し、適切な治療を行うことをおすすめします。
尖圭コンジローマの予防方法は?
尖圭コンジローマを予防する方法には、以下のようなものがあります。
- HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの接種
- 尖圭コンジローマの主な原因であるヒトパピローマウイルスに対して、ワクチン接種を受けることが最も効果的な予防方法です。HPVワクチンは、女性だけでなく男性にも推奨されています。
- 安全なセックスの実践
- 性行為の際にコンドームを使用することで、完全ではありませんが、感染を防ぐことができます。また、性的パートナーが多いと感染リスクが高まりますので、安全なセックスを心がけてください。
尖圭コンジローマと梅毒との違いは?
尖圭コンジローマと梅毒は、どちらも性感染症の一種ですが、以下のようにさまざまな違いがあります。
- 病原体の違い
- 尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルスによって引き起こされます。一方、梅毒は、梅毒トレポネーマという菌によって引き起こされます。
- 症状の違い
- 尖圭コンジローマは、性器周辺にイボ状の突起が現れることが一般的です。一方、梅毒は、初期段階では発疹や潰瘍、後期段階では神経系や心臓、血管系など全身的な症状が出ることがあります。
- 治療法の違い
- 尖圭コンジローマの治療には、電気メスやレーザーでイボを焼く手術、抗ウイルス薬の使用などがあります。一方、梅毒は、抗生物質を使用して治療します。
尖圭コンジローマは、性行為以外でも感染することがありますか?
ヒトパピローマウイルスは、感染した人の皮膚や粘膜に接触することでも感染します。感染した人が感染部位を触ったり、タオルや下着などを共有することで、感染が広がることがあります。
尖圭コンジローマは、感染してから症状が現れるまでに時間がかかります。自覚症状がない場合でも、感染している可能性があるため、感染を防ぐための予防策を講じることが大切です。