裂肛とは?
裂肛とは肛門にできた裂け傷のことで、俗に「切れ痔」「裂け痔」と呼ばれます。
裂肛をくり返すと慢性化し、肛門膿瘍や肛門狭窄を引き起こします。
主な原因は?
硬い便を無理に出そうとして肛門上皮が裂け、裂肛になります。
なりやすい人は?
便秘がちな方 特に女性に多くみられます。
症状
排便時の激しい痛みと出血(ティッシュに付く程度~便器の中が真赤になる程度)
排便後ジーンとした痛みが続きます。
発生部位
12時・6時の方向が多い。
好発年齢・性別
一般的には10代~20代の若い女性に多い。
病気に気づいたら?
専門病院の受診をおすすめします。
診断方法
問診・指診・肛門診
治療法
消炎鎮痛作用のある軟膏や坐薬を使用した保存的治療を行います。
硬い便に対しては,緩下剤を用いて肛門への負担を軽くします。
慢性化し肛門潰瘍や肛門狭窄がある場合、手術療法を検討します。
手術
LSIS:側方向肛門括約筋切開術(括約筋をきり広げる手術)
SSG:皮膚弁移動術(狭窄部を切り開き、皮膚を移動して広げる手術)
合併症について
手術後、麻酔の影響で一時的に頭痛や排便障害が起こることが稀にあります。
出血や傷が化膿したり、腫れることがあります。
状態により処置を行います。
退院後の日常生活
便秘にならないよう、排便のコントロールを行いましょう。
退院後の通院について
退院時に主治医に確認してください。
薬について
傷の治りを早くする薬剤、止血作用のある薬剤、傷口を直接的に保護しながら固くなった皮膚を軟らかくする作用のある外用薬(軟膏・坐薬)を処方します。
予防法
排便コントロールを行い、便秘に注意しましょう。
特に、硬い便の排出をさけましょう。
便をするたびに痛みと出血があります。痔でしょうか?
多くの場合は、便秘による硬い便で、肛門の皮膚の部分が裂ける裂肛(切れ痔)だと推測します。
排便の時の強い痛みと軽度の出血が特徴で、3分の2以上の方が外科的な治療を行わず、投薬や便秘を治すなどの保存的療法で治ります。
ただし、慢性化して潰瘍になったり肛門が狭くなった場合は、手術の検討が必要となります。心配なことがあれば、一度、専門医を受診してください。
切れ痔(裂肛)は、自然に治りますか?
初期の裂肛であれば、便秘や下痢に注意し、刺激物(アルコール、わさび、とうがらし、コショウ、ニンニクなど)を控えることで、1〜2週間程度で治ります。
裂肛を繰り返している場合では、治るまで2~4週間を要すことがあります。また、大きな潰瘍となったり、周りに粘膜や皮膚のふくらみができてくると、さらに治りにくくなっていきます。
一度治った傷は、元の丈夫な状態になるのに、プラス1か月ぐらいかかり、その間に傷に負担がかかると、再び切れてしまいます。そのためしばらくは、便秘や下痢を防ぐよう、排便コントロールに注意を払う必要があります。
切れ痔(裂肛)は、薬で治せますか?
初期の裂肛は、特別の治療を必要とせず、便通がスムーズにあれば自然に治る場合がほんどですが、便秘を何回も繰り返したり、肛門が狭くなっていると、傷が硬くなり治りにくく、薬による治療が必要となります。
傷の治りを早くする薬剤をはじめ、出血があれば止血作用のある内服薬や、傷口を直接的に保護し、硬くなった皮膚を軟らかくする作用のある外用薬などを使用します。便秘を治すための緩下剤を併用することもあります。便秘を防ぐ食生活を心掛けていただき、肛門への負担を軽くします。
裂肛がさらに進むと、肛門ポリ一プやスキンタグができやすくなり、肛門が狭くなったりします。そういう場合は薬では治りにくく、外科的に処置します。
切れ痔(裂肛)が慢性化しています。手術は必要ですか?
慢性化した裂肛であっても、排便コントロールがきちんとできれば日常生活は可能です。できるだけ排便後にシャワートイレ(温水洗浄便座)や坐浴(肛門を洗う)して清潔を保ちます。洗い過ぎは逆効果ですので、ご注意ください。
裂肛の症状からみると、少し出血するぐらいからポタポタ出血する状態、排便時に肛門がピリッと裂ける感じであれば治りやすく、反対に排便時に出血がほとんどなく、肛門の痛みが長く、時として半日から一日中続くような場合は治り難い段階と判断されます。
肛門が狭くなっていたり、痔瘻(じろう)が形成されている場合は、もう自然には治らない状態と言えるでしょう。日常生活に支障をきたしているようでしたら、手術が必要となります。どのような状態か判断するためにも、一度専門医を受診されることをお勧めします。
切れ痔(裂肛)の原因は何ですか?
切れ痔(裂肛)は、女性に多いと言われています。
ダイエットで食事量を制限して、便秘に悩む女性が多いことと関係があると推定されます。食事の量が少ないと「便の量」が増えず、腸管が刺激されないため、便秘になりやすくなります。そして便が硬くなり、排泄されづらくなった便が無理やり肛門を通過する際に、肛門上皮が裂け、裂肛になってしまいます。
歯状線より下にある肛門上皮は、知覚神経が通っているため、裂けると強い痛みが伴います。そこで排便を我慢しがちになり、便秘を引き起こします。こうなると悪循環です。便秘のために便は硬くなり、肛門を傷つけやすくなります。こうしてどんどん悪化して、治りにくくなっていきます。
ダイエットをするならば、快便できるようなものへ見直してはいかがでしょうか。
「痔にならない7つの方法」では、痔を防ぐ秘策をご紹介しています。