チーム医療

専門分化が進み、進歩しつづける医療において、各専門の医師やさまざまな職種のスタッフが協力し意見を出し合い、一致団結して治療に当たる体制を一層強化していくことが求められています。
くるめ病院では、医師や看護師、薬剤師、補助スタッフなど、多職種の医療従事者がチームを作り、患者様により良い医療・看護を提供できるよう取り組んでいます。

なぜ「チーム医療」が必要なのでしょうか?

「人」そのものを“看る”医療を
実践するため

人間は、気持ちが落ち込むと身体の機能が低下し、心が生き生きしていると健康的に過ごすことができます。身体と心は繋がっているため「病んでいる部分」だけではなく、心理や社会的側面も含めた「患者様の全体」をケアしなければなりません。個々の患者様にあった医療を提供するために、医療専門職間のチームワークが必要となります。

高齢化社会に
高い質で対応するため

患者様のさまざまな医療ニーズに対応するため、私たち医療機関をはじめ、自治体や医療福祉関係機関との連携も大きな課題です。特に、65歳以上の高齢者が人口の20%以上を占める”超高齢社会”では、これまでとは異なる別次元のニーズが高まることを予想しています。介護福祉と医療との連携を含めた医療情報の共有化も求められています。

日々進歩を続ける
医療の高度化に対応するため

医療は日々の研究や技術開発により、進歩をし続け、高度な専門性が求められています。また、患者様を取り巻く環境や状況も時代とともに変化しており、医療職の業務は増加傾向にあり、複雑化しています。患者様のニーズに対して的確に対応するため、医療スタッフが連携し専門性を発揮することが、医療やケアの質を高める結果になると考えています。

高度な医療技術・知識に加え、人間性や協調性、コミュニケーション能力も”医療の現場”で必要になっています。

くるめ病院の「チーム医療」

固定チームナーシングの導入

固定チームナーシングとは、個々の患者様に対して、受持ち看護師が入院から退院まで責任を持って看護を提供し、それを固定したチームのリーダーやメンバーが支援する方式です。受持ち看護師だけでは担いきれないことを、目標を共有する固定したチームで協働することで補完し、患者様に必要な看護を継続して提供できる看護体制です。くるめ病院看護部では、以下の実施方法で固定シームナーシングを行い、さまざまなメリットを得ています。

実施方法

  1. チームに固定したリーダーとサブリーダーを配置し、メンバーも一定期間固定する
  2. 固定した患者様グループの看護に責任を持つ
  3. 患者様一人ひとりに受け持ち看護師を決め、入院時から退院時まで責任を持ち、継続した看護ケアを提供する
  4. チームリーダーが中心となり受持ち看護師を支援する
  5. チームの固定期間は原則として1年とする
  6. 各チームは年間目標と計画のもとにチーム活動をする

実施メリット

  1. 患者様に内容のある継続した看護を提供できる
  2. 患者様の把握がしやすい
  3. 問題点に対して計画的に看護することができ評価しやすい
  4. チーム活動によるリーダー・メンバーシップが育成される
  5. 新人教育・卒後教育がしやすい。卒後年数に応じたプログラム作成が容易
  6. チームリーダーの存在で、患者様や看護師に応じた的確な指導につながる

チーム医療を支えるプロジェクト・委員会

その他の取り組み

IBD・NST勉強会

炎症性疾患のクローン病や潰瘍性大腸炎、およびNST(Nutrition Support Team:栄養サポートチーム)について勉強・研究するチームです。
術後の合併症を防ぐためのアセスメントツールの作成をはじめ、禁煙指導のためのデータ分析などを行い、治療に反映させていきます。また、IBD友の会(患者会)の企画・運営も担当し、毎年テーマを決めて全職種で取り組んでいます。

ストーマ勉強会

ストーマ保有者に寄り添い、現状を把握し問題点を抽出することで早期支援つなげ、排泄習慣の大きな変化に伴う心身の苦痛を軽減し、QOLを低下させることなく生活できるよう支援しています。
あざれあ会(オストメイト患者会)を年2回実施。患者様が安心して生活できる新製品の紹介、各種参考資料や公費給付などの情報提供を行い、親睦の場としてもご利用いただいています。

がん・ポリープ勉強会

全大腸内視鏡検査に関する業務改善や、がん・ポリープ手術に関する情報を日々収集し分析しています。
具体的には、内視鏡検査前処置の経口腸管洗浄剤に関する研究を行い、患者様が良好に検査できるよう取り組んだり、今後の治療に役立るためにアンケートを実施しています。がん・ポリープのエキスパートとして、さらなる高みを目指し、磨き続けています。

排便機能・肛門疾患勉強会

便秘や痔で苦しむ患者様のために、排便機能についての研究を行っています。
毎月の排泄ケアカンファレンスをはじめ、バイオフィードバック療法や排便姿勢指導などを組み合わせた排便プログラムを作成し、問題なく排便できるようになるよう指導を行っています。
全国規模の研究会での発表や医療関連のテレビ出演も実施。ちくご高齢者排便障害研究会にも参加しています。

オンコロジー勉強会

がん患者様の治療やケアが安心安全に行えるよう、さまざななカンファレンスや勉強会を実施しチームで援助しています。
進行がん患者様のフォローをはじめ、内服補助化学療法治療では、丁寧な説明を行い、患者様の理解度を深めて納得のいく薬剤の選択をし、完遂率を高めています。患者様の問題点を明らかにするだけでなく、がん看護における看護職の不安軽減にも取り組んでいます。